旧大社駅
大社町(現・出雲市)にあった西日本旅客鉄道(JR西日本)大社線の駅(廃駅)。大社線の廃線に伴い、平成2年(1990年)4月1日に廃駅となりました。 明治45年(1912年)に、国鉄大社線(出雲市―大社駅)の開通により、大社駅として開業され...
ました。建設前に旧参道の繁華街から反対を受けたため、出雲大社から少し離れた位置となりました。 その後、大正13年(1924年)2月に、出雲大社を模した造りの木造平屋441平方メートルの駅舎に改築され、団体専用の改札口などもありました。この駅舎は、当初、中央本線高尾駅の北口駅舎を設計した曽田甚蔵氏が設計したとされ、大正浪漫の建築美を表す高く設計された天井からは大正風の灯篭型の和風シャンデリアが玄関を含めて30個備え付けてあり、待合室は正面向かって右手が二等待合室、中央の大きな一般待合室と二つあり、昭和初期までは分けて使用されるなど特徴のある駅の造りとなっていました。当時、建築家で橿原神宮や平安神宮などを設計した工学博士で、東京帝国大学名誉教授の伊東忠太氏がお墨付きを与えたと言われていましたが、大社線廃止後、駅舎の屋根裏調査で上棟式の棟板が発見され、設計者は当時神戸鉄道管理局の技手だった丹羽三雄氏であったことが判明したとされています。 戦前から大阪と大社を結ぶ優等列車が運転されており、東京―大社(急行いずも)や名古屋-大社(急行 大社)、大阪―大社(急行だいせん)などの長距離優等列車や出雲大社参拝団体臨時列車などが数多く運転され、参拝客で賑わいました。 しかしながら、国鉄からJRに代わり、大社線は平成2年(1990年)3月31日に廃止されましたが、平成13年(2001年)7月に旧大社町合併50周年を記念した旧JR大社駅整備事業として、駅舎の整備保存がされることとなり、ホームや駅の掲示などがすべて当時のまま残されています。 それから、平成16年(2004年)に国の重要文化財に指定され、平成21年(2009年)2月6日には、一畑電鉄出雲大社前駅のモダンな西洋建築とともに近代化産業遺産に認定されています。
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